※本ブログは米国時間2025年4月17日に公開されたA10本社ブログの日本語訳です。原文はこちらからご覧ください。
金融サービスにもイノベーションが求められていますが、既存のロードバランシングソリューションがその足かせの一部となっています。最近実施された一連の業界調査では、クラウド移行からコンプライアンスまで、主要な優先事項に関する課題に加え、ロードバランシングソリューションとベンダに対する不満が高まっていることが明らかになりました。
A10による調査レポートでは、以下の2つの調査結果を紹介しています。
- A10とGatepoint Research社が行った、米国の経営幹部を対象に実施した調査「ハイブリッドクラウド向けの最新アプリケーション配信戦略」
- A10とOpinion Matters社が行った、EMEA地域における社内ITプロフェッショナルを対象に実施した調査「ネットワーク負荷分散テクノロジのトレンド」
調査結果から、今日の金融サービスのロードバランシング要件と実際に提供されるものとの間にギャップがあることが明らかになりました。
ハイブリッドクラウドへの移行が検討・実施されているが、その成果の満足度は高くない
デジタルネイティブの新興企業が金融業界のイノベーションを加速させる中、ビジネスの俊敏性は競争上の重要な要件となっています。ハイブリッドクラウド環境は、ITモダナイゼーションを加速し、新サービスをより迅速に提供するための手段となりますが、その移行は容易ではありません。実際、米国企業のうち、アプリケーションをクラウドに移行して大きな成功を収めたと報告しているのはわずか25%です。
規制遵守などの理由から、一部の企業にとってレガシー環境は今後も不可欠なものとなるでしょう。81%の企業がオンプレミスのデータセンタを引き続き利用しているのも当然と言えます。しかしながら、33%の企業がオンプレミスのインフラのみに依存していることは、今日の急速に変化する金融業界において、競争上の大きな弱点となっています。アプリケーションデリバリーコントローラ(ADC)経由かスタンドアロンソリューションかを問わず、ロードバランシングはハイブリッドクラウドへの移行と管理を簡素化できますが、多くの企業が依然として移行に消極的であることがわかります。
AIを活用したビジネスには、より優れたパフォーマンスと可用性が求められる
人工知能(AI)は金融サービス業界に非常に大きな影響を与える一方で、インフラへの要求事項もかつてないほど高いものになっています。GenAIワークロードはネットワークを圧迫し、他の重要なアプリケーションのパフォーマンスを低下させる可能性があります。リアルタイム推論には、レイテンシを最小限に抑えながら最適なパフォーマンスが求められます。ハイブリッドクラウドは、切望される拡張性と柔軟性を提供しますが、多くの企業がまだその活用に至っていないのが現状です。
調査参加者はまた、ビジネスの成功を確実にするためにソリューションにさらに期待する点として、トラブルシューティングと根本原因分析の迅速化(20%)、分析とアプリケーションインサイト(20%)、アプリケーションパフォーマンスの向上(13%) も挙げています。
サイバーセキュリティの脅威とレジリエンスに焦点をあてる新たな取り組み
AIにより新たな脅威が増大している中、金融サービス企業は、DDoS攻撃、悪意のある内部者、ランサムウェアに至るまで、あらゆる脅威に対するより強力な防御策を必要としています。EMEA地域(欧州・中東・アフリカ)における企業の46%がAI関連の脅威に対する保護策の導入を計画しており、38%が開発者向けセキュリティツールへの投資を予定しています。
金融サービス企業は、GDPR、CCPA、EU AI法といったデータプライバシおよびデータ保護に関する規制に加え、データ侵害や災害発生後のオペレーションのレジリエンス(回復力)向上を求めるDORA(データ保護規制)の要件にも直面しています。これを受けて、EMEA地域(欧州・中東・アフリカ)の企業の29%がセキュリティとレジリエンスの向上を予定しています。米国企業の30%はレジリエンスを優先し、28%はセキュリティ強化に重点を置いています。
企業はADCを最大限に活用できておらず、その複雑さが問題となっている
金融サービス企業が求めるセキュリティとコンプライアンスの要件を考えると、ADCやロードバランサの関連機能を既に最大限活用していると思われるかもしれません。しかし、調査データによると、アプリケーション層セキュリティ(16%)、アクセス制御(12%)、TLS/SSLオフロード(10%)といった主要なユースケースにこれらのソリューションを活用している米国企業は比較的少数であることがわかりました。
企業がこれらのソリューションから最大限の成果を得られないのであれば、技術的な要因が障害となっている可能性があります。ADCやロードバランサで直面している問題についての設問では、回答者はソリューションの複雑さ(44%)と統合の難しさ(29%)を最も多く挙げました。
ベンダ自体の問題も懸念材料
難しいのはソリューションそれ自体だけではありません。EMEA地域の企業は、ベンダそのものに不満を抱いており、ライセンスやサポートの変更(28%)、大幅なコスト増加(26%)、ベンダーロックイン(22%)など、幅広い不満を挙げています。多くの企業にとって、こうした問題は他社を検討する十分な理由となります。EMEA地域の回答者の56%は、ベンダの対応が限定的であること、または不十分なことを理由にソリューションを変更すると回答しています。これは、レイテンシ、ラグ(lag)、ダウンタイムの増加を理由とする35%の回答者を大きく上回っています。米国の経営幹部も同様の見解を示しており、ADCまたはロードバランシングソリューションを評価する際に、ベンダの優れたサポート(20%)を他のどの考慮事項よりも多く挙げています。
急速に変化する市場において、競争力を維持しつつシェアを拡大するために、金融サービス企業は、変革を阻害するのではなく、変革を促進してくれるテクノロジパートナーを必要としています。現在金融サービス企業が直面している課題、そして将来に向けてどのような対策を講じるべきかについて詳しくは、こちらからレポート全文(英語)をダウンロードしてください。