※本ブログは米国時間2026年3月11日に公開されたA10本社ブログの日本語訳です。原文はこちらからご覧ください。
AIは、リアルタイムの信用判断から取引執行まで、金融サービスのユースケースに革新的な可能性をもたらしますが、それは基盤となるインフラが追いついている場合に限ります。A10ネットワークスの「2025年版AIインフラの現状レポート」によると、このインフラ制約が大きな課題となっています。金融機関は予測分析の導入において他のセクタをリードしていますが、同時にネットワーク遅延を主要な問題として挙げる割合もトップとなっています。AIイノベーションと並行してインフラを近代化できなければ、これらの新しい機能を実際に運用することは難しいでしょう。
このブログでは、調査データから明らかになった金融サービス機関のAI導入状況、インフラの課題、そしてこれらの課題に取り組むチームの近代化について検証します。
■ バランス型ホスティングは運用上の複雑さをもたらす
調査対象となった金融サービス企業の71%が予測分析にAIを使用しており、これは業界の中で最も高い割合です。リスク評価、不正検出、市場分析といったユースケースはすべて、大量のデータを迅速に処理し、時間的制約の下で信頼性の高い出力を返すAIモデルに依存しています。これらのワークロードをサポートするために、金融サービス企業の回答者の46%は、バランスの取れたハイブリッドクラウドアプローチを採用しています。
例えば、レイテンシに敏感で規制の厳しいワークロードはオンプレミスに残し、開発環境とスケーラブルな推論はクラウドに移行するといった方法です。これは理にかなった戦略ですが、クラウドとオンプレミスの両環境にわたるAIトラフィックを基盤となるインフラが適切に処理できるように構築されていない場合、運用上の複雑さが増してしまいます。
■ パフォーマンスの問題にはコストがかかる
調査対象となった全組織において、AIアプリケーションのパフォーマンスを「重要」と評価した企業が49%、さらに23%が「極めて重要」と評価しています。金融サービス業界では、その基準はさらに高いものでした。レイテンシが低いほど取引の成功率が高まり、逆に遅延が発生するインフラでは取引の失敗や収益の損失につながる可能性があります。
しかし、金融機関の3分の1が現在のパフォーマンスのボトルネックとしてコンピューティング能力の限界を挙げ、20%がネットワークのレイテンシを指摘しています。これは、調査対象となった他のほとんどの業界よりも高い割合でした。
アプリケーション配信の状況を見ると、この懸念はさらに強まります。回答者の半数が、ロードバランサ、アプリケーション配信コントローラ(ADC)、および関連システムを含む現在のインフラでは、AIワークロードに必要なパフォーマンスと稼働時間を「概ね」維持できるだけだと回答しています。インフラがAIへの需要に余力を持って対応できていると回答したのは、わずか16%でした。
■ セキュリティ:重大な懸念、不十分な対応
セキュリティは、調査対象企業の中で最も多く挙げられたインフラ上の課題であり、回答者の49%が最大の制約として挙げています。金融サービス企業にとって、そのリスクは特に高いと言えます。あらゆる業界に共通する運用リスクに加え、DORA、GDPR、業界固有のデータ主権要件といった規制枠組みの下で事業を展開しているため、AI関連のセキュリティ障害は技術的な問題であると同時に、コンプライアンス上の問題にもなり得ます。
セキュリティが最重要課題であるにもかかわらず、業界全体でAIに対応したセキュリティソリューションを導入している組織はわずか40%にとどまっています。大多数の企業は、本来想定されていないAIワークロードやトラフィックを保護するために、既存のインフラに依存しています。回答者の多くが、AIトレーニングモデルへのデータ漏洩、機密システムへのAIによる不正アクセス、従来のセキュリティツールではモデルレベルやプロンプトレベルでの異常な動作を検出できないことがあるなどのリスクを認識していたにもかかわらずです。
■ 安全で高性能なAIインフラの導入
コンピューティング能力は現在のAIイニシアチブにとって常に課題ですが、セキュリティはさらに喫緊の課題と言えます。18か月以内にインフラのアップデートを計画している全組織の79%のうち、60%がセキュリティインフラを最優先とし、これにはAIファイアウォール、WAF、APIセキュリティ、DDoS攻撃対策などが含まれます。また、回答者の62%は、スタンドアロンのポイント製品よりもプラットフォーム戦略を持つベンダをより適切だと考えています。このアプローチは、複数ベンダ製品を統合する負担や可視性のギャップがコンプライアンス上の課題を悪化させる可能性がある金融サービス業界において特に有効だと言えます。
金融サービス機関がAIインフラストラクチャの近代化にどのように取り組んでいるかについて、詳しくは「2025年版AIインフラの現状レポート」でお読みいただけます。
