※本ブログは米国時間2025年3月25日に公開されたA10本社ブログの日本語訳です。原文はこちらからご覧ください。

今日、ほとんどの組織はクラウドコンピューティングを利用してワークフローを合理化し、よりコスト効率が高くスケーラブルなインフラを提供しています。すべてをオンプレミスでホストしている組織もあれば、全てをクラウドへと移行している組織もありますが、中間的なハイブリッドクラウド環境の人気が高まっています。米国とEMEAの500 人以上の回答者を対象に実施した最近のA10 Networksの調査「アプリケーション負荷分散の状況 2025(英語)」によると、EMEAのITプロフェッショナルの44%がクラウドファーストのアプローチを好み、37%がクラウドネイティブのアプローチを選択しています。

現在、パブリッククラウドの支出は年間約5,500億ドルを超えており、ますます多くの企業がワークロードの大部分をクラウドに移行しています。しかし、EMEAの組織はクラウドインフラ、特に負荷分散機能に関して大きな課題に直面しています。EMEAのITプロフェッショナルは、クラウド移行の成功度合いはさまざまであると報告しており、負荷分散はパズルの重要なピースとなっています。

負荷分散による優先事項への対応

クラウド戦略を策定し、実装する際に、IT意思決定者は主要なビジネスニーズが満たされているかどうかを把握する必要があります。スタンドアロンデバイスを介して提供されるか、アプリケーション配信コントローラ(ADC)を介して提供されるかに関係なく、負荷分散は、組織がさまざまな方法で主要な優先事項に対処することを支援し、クラウド移行を成功させることに役立ちます。

セキュリティ

サイバー攻撃は年々増加し、巧妙さを増しており、組織が攻撃を受けた場合の財務、評判、ビジネスへの影響も急速に大きなものとなっているため、調査対象のITプロフェッショナルにとってアプリケーションセキュリティが最優先事項であることは驚くべきことではありません。

EMEAでは、調査回答者の40%が、ADCまたは負荷分散ソリューションで対処すべき重要な問題として、アプリケーションセキュリティの脅威を挙げています。これは英国にとって主要な問題でした。中東のITプロフェッショナルは、特にADCのセキュリティを懸念しており、62%がこれを最大の問題と見ています。これは、AIを活用することで、これまでよりもはるかに大規模で複雑な攻撃が可能となった現在において重要です。

スケーラビリティとコスト効率

クラウドが提供する主な利点の1つは、需要に応じてリソースを拡張できることであり、負荷分散はこれに不可欠な要素です。需要が増加すると、クラウドサービスはリソースを自動的に拡張し(サーバや仮想マシンの追加など)、負荷分散装置によってトラフィックを均等に分散します。

この順応性により、クラウドパフォーマンスの大幅な最適化も可能になります。ロードバランサはトラフィックを均等に分散するため、サーバが過不足なく適切に使用され、アプリケーションの全体的なパフォーマンスが向上します。

コストは企業にとって常に重要な懸念事項であり、クラウドにはいくつかの利点があります。クラウドにより、組織はインフラをアウトソーシングし、使用した容量に対してのみ料金を支払うことができます。

EMEA 全体では、調査回答者の39 %が、負荷分散ソリューションのコストが大きな問題であると述べています。ドイツと中東では、回答者の50 %以上がソリューションコストを主要な問題として挙げ、ドイツの回答者の58%は、ベンダーにかかるコストの上昇がソリューションプロバイダの変更を検討する理由になると述べています。これは、EMEA地域の中で最も高い割合です。

企業がロードバランサに求めるもの

ITプロフェッショナルは、負荷分散とADCソリューションに関してセキュリティを主な懸念事項として挙げていますが、これは最も改善が必要な分野でもありました。

ITプロフェッショナルにとってセキュリティは最優先事項ですが、ベンダー側の問題も大きく影響しています。回答者の44%がベンダーのライセンスやサポートの最近の変更に対応するのが難しいと報告し、39%がライセンスコストの大幅な増加を経験しました。

ITプロフェッショナルは、専門的なスキルを必要とするソリューションの複雑さにも苦労しており、EMEA全体で43%がそのように回答しています。これはドイツ(54%)とベネルクス(48%)では最も差し迫った課題でした。

信頼できるベンダーを見つけること

ベンダーの問題も、ITチームがソリューションの変更を検討する主な要因でした。EMEAのITプロフェッショナルのほぼ半数(47%)は、ベンダーの対応やサポートが不十分であることが、他のベンダーのソリューションを検討する主な理由であるとしています。ドイツと中東のITプロフェッショナルの64%も同様に回答しています。したがって、ADCまたは負荷分散ソリューションは、信頼できるベンダーから、適切な価格で提供されることが不可欠です。

■参考資料:
アプリケーション負荷分散の現状に関する調査レポート 2025年(英語)