2017年、オープンソースに影響を与える10のトレンド予測
*本内容は、米国A10 Networksが発行したブログ記事の抄訳版です。
オープンソースは、すべての開発者にとって重要なリソースの1つとなっています。コミュニティの力、つまり、多くの人々が知恵を出し合い、多様なシステムやソリューションを作り出す力が、オープンソースを非常に強力な存在にしています。
A10は継続してオープンソースソリューションに注力しており、開発者がオープンソースを活用した独自開発のツールをA10のネットワークソリューションに統合できるよう、様々なAPIを提供しています。
A10はこの取り組みを通して、オープンソースコミュニティの実情を観てきました。2017年に予想される、オープンソースに影響を与える10のトレンドを明らかにしましょう。
- ADCの領域でオープンソースが活用される。
- オープンソースの脆弱性をより多く発見できるようになる。
- ビジネスインテリジェンスの重要性が増すにつれてデータがより実用的になる。
- コンテナがより一般的になる。
- 企業でのDevOpsの導入が盛んになる。
- 押し寄せる自動化の波。
- サービスプロバイダーがOpenStackを活用するようになる。
- 企業はパブリッククラウドに期待を寄せる。
- 共通サービスAPIの重要性が高まる。
- アーキテクチャがもっと標準化される。
A10は、これまでオープンソースソリューションのアンバサダーとして、様々な活動を行ってきました。そして2017年には、その重要性がさらに増大します。ADCベンダーは、さまざまなオープンソースプロジェクト(特にADCによるテレメトリー機能)と統合できる製品を提供するようになります。
悪意のある攻撃者は脆弱性を好み、企業はそれを回避します。多くの企業では、オープンソース技術を利用して、クラウド上でソリューションを構築しています。しかし、オープンソースの脆弱性が大きなニュースになっている現状は、オープンソースは従来考えられていたほど信頼性が高くないことを示します。セキュリティ会社としてマインドシェアの獲得を目指すテクノロジーベンダーが、オープンソースコード内の脆弱性を特定するケースが増えるでしょう。これにより、必要なパッチの作成が早まることが期待されます。
大量のデータを収集することは有用です。しかし、本当に重要なのは、集めたデータで何をし、そのデータから何を学習するかということです。これまではデータを収集することにとらわれすぎて、集めたデータを活用しきれていませんでした。
2017年には、実用的なパターンを特定するための分析と機械学習の導入が増加し、その結果、収集したデータからより多くの価値を引き出せるようになります。これによりビジネスインテリジェンスが向上し、組織の競争力が向上します。
2017年は、企業がデータを他社との差別化要因として使用するようになり、情報の優位性が重要になるでしょう。
過去2、3年の間、コンテナは大規模に導入されるソリューションというより最先端の流行という存在でした。今年はそれが変わります。
2017年には、企業がリソースのサイズの適正化を重視するようになるでしょう。コンテナによって、企業が移植しやすいリソースを活用できるようになり、マイクロサービスへの参入もはるかに容易になります。その結果、企業にとって妥当な価格でアプリケーションの拡張性と安定性を向上させることができます。
つい最近まで、DevOpsは企業にとって邪魔者でした。企業はこの新しいスキルセットとそれに付随する理論を導入する必要があることを知ってはいましたが、人材の欠如とあいまいな定義のせいで、やや情報が足りない状態に置かれていました。
DevOpsツールおよびプロセスが普及するにつれて、2017年には企業がついにDevOpsの利点を活用できるようになり、開発者とIT部門の間にある障壁が崩されるでしょう。
来年には、自動化がさらに重要になります。主にDevOpsの導入によってソフトウェアの提供とインフラストラクチャ管理の自動化が進みます。負荷から解放された開発者がクリエイティブな仕事に使える時間が増え、インフラストラクチャについて思い悩む時間が減ります。開発チームは多数の強力なソフトウェアを迅速に活用する必要がありますが、自動化の向上によってそれが可能になります。
OpenStackは十分に成熟しており本質的に低コストなため、より多くのサービスプロバイダーが、プライベート・パブリッククラウドを強化するためのオープンソースソフトウェアとしてOpenStackを導入するようになります。サービスプロバイダーはOpenStackを使用することで、大規模な専用ソリューションを購入して限定的にカスタマイズする代わりに、より簡単かつ低コストで開発者を雇用し、必要なものを作成することができます。
すでに多くの企業がOpenStackを使用して、コンピューティング、ストレージ、およびネットワーキングのリソースを制御しています。OpenStackは多種多様なインフラストラクチャに適しているので、単一のクラウドソリューションにしばられたくないサービスプロバイダーにとっては理想的なソリューションです。OpenStackは今後何年にもわたり、サービスプロバイダー市場における強力な選択肢となるでしょう。
ほとんどの企業にとって、大事な関心事はテクノロジーではありません。企業はカスタマイズが必要な専用ソリューションよりも、導入したらすぐに使える製品を望んでいます。したがって、2017年は企業がパブリッククラウドについてもっと深く、思いを寄せる年になるでしょう。
APIは、これまでもオープンソースに欠かせない存在でしたが、2017年にはAPIに対する質の向上が求められるようになるでしょう。スムーズで簡単な統合によって、迅速な実装と豊富な機能の提供が可能になります。良質なAPIを提供していないベンダーは、2017年にはチャンスを逃すことになるでしょう。
オープンソースプロジェクトでは、アプリケーションバックエンドサービスや他の機能を提供するRESTful APIを使用して、さらに開発が続けられるでしょう。
フレームワークの実装により、ほとんどのインフラストラクチャが似通ったものになるでしょう。その結果、土台のインフラストラクチャがネットワークトポロジよりサービスに基づくことが多くなり、クラウドインストラクチャも同様の傾向が進むでしょう。これは、企業がインフラストラクチャ自体よりもインフラストラクチャに力を与えるサービスを重視するようになることを意味します。